東日本大震災から14年
| 固定リンク 投稿者: うらの
2011年3月11日。このブログをごらんの中高生の皆さんにとっては記憶は鮮明でないかもしれませんが、東北地方で非常に大きな地震が発生し、多くの方が犠牲となってしまいました。東北地方も大変でしたが、関東地方も揺れはそこそこ大きかったので、交通がストップし、一時的に帰宅が困難となる人が多数出ました。
揺れたその瞬間、私はとある患者さんのベッドサイドで診療をしていました。突然大きな揺れが生じましたので、患者さんのベッド柵につかまり、患者さんとともにおさまるのを待ちました。落ち着いたところで病棟スタッフがデイルームのテレビをつけると、そこには目を疑うような信じられない光景がたくさん映し出されました。とっさにでも、とんでもなく大変なことが起こったということだけは理解できました。その後私は当たり前のように、地下にあるリハビリテーションのフロアまで階段で降りたのですが・・・病院中のエレベータが全て動かなくなっており、多数の車椅子の患者さんが病室に戻るに戻れない、という状況が発生していました。エレベータの当日中の復旧はもちろん無理でしたので、結局車椅子の患者さん1人につき4人の病院スタッフが付き、4人で車椅子ごと持ち上げながら、階段を使って病室(3~5階)まで送り届けることになりました。事態が事態だったせいもありますが、どのスタッフも文句など言うはずもありません。突然の出来事であったにもかかわらず、まさに「あうんの呼吸」で息を合わせて車椅子を持ち上げ、全ての患者さんをお届けしました。そして、エレベータの故障により、夕食をワゴンごと病棟に運ぶことも困難となりましたので、全職員が地下1階から地上5階までの階段に一列に並び、「バケツリレー方式」で全員の患者さんにお食事をお届けしました。
東北の方が被った被害や心身の苦痛に比べれば、この程度のものは確かに大したことではありません。ただ、この経験を通じ、病院に勤務する者として、災害が生じたときに自分が何をすればいいか、どう動けばいいかを瞬時に考え、臨機応変に動くことの大切さを痛感しました。当たり前ではありますが、災害にシナリオはありません。何が起こるか全く分かりません。ただ、それでも日頃の備えに加え、「万が一災害が起きたら自分に何が出来るか」ということを、常々考える必要がありますね。中高生の皆さんも是非。