ヒカリ新世紀

| 投稿者: うちやま

10月になって朝晩は涼しく、やっと秋らしい気候になってきました

秋には美味しいものがたくさんありますが、私が楽しみにしているのは新米🍚

最近はスーパーでも少量ずつ様々な品種を購入できるようになってきましたね~

Flower_ine

タイトル「ヒカリ新世紀」これはお米の品種名です。

鳥取大学農学部で開発された、コシヒカリにルーツをもつお米です。

私はこのお米のことを、ある患者さんに教えてもらいました。

 

その方はお米の専業農家で、従業員を雇ってたくさんの田んぼで米作りをされていました。

脳出血を発症して入院となり、右半身の麻痺と重度の失語症の後遺症がありました。

挨拶や自分の名前を言うのも大変で、周りの様子から判断したり、簡単な問いかけに頷き/首振りで答えたりされていました。

だんだんと言葉の一部が言えるようになってきて、豊かな表情や身振りと絵と文字をフル活用しながら、私に様々なことを伝えてくれました。

ずっと仕事一筋の米農家だったそうで、一生懸命お話しようとされている様子に、奥様はよく驚かれていました。

 

その中の一つが「ヒカリ新世紀」

その方は失語症の影響で「ひかり」という発音が難しかったので「△△△しんせーき」と言われていました。

一番最初に言われたときには何のことかさっぱり分かりませんでしたが、少しずつ推測しながら質問をして見当をつけ、

ご本人と奥様のお話をうかがい、自分でも調べてみて、「ヒカリ新世紀」というお米の品種のことだと分かりました。

以前のブログにも書きましたが、コミュニケーションをスムーズすすめる上で、知っていることが強みになります。

収穫時期が早い品種で、その方の田んぼでは「ヒカリ新世紀」から稲刈りがスタートします。

”今年も稲刈りが始まって忙しくなった”ということを、「しんせーき、はじまった」と教えてくれていました。

 

新米をみると、その方や奥様のことを思い出します

答えは、ひとつじゃない。自ら発見する学びがここに。

| 投稿者: わたなべ

Photo_20211006162801

本専攻1年次の後期に「ベーシックセミナーⅡ」という科目があります。コミュニケーション技術や課題解決に向けた手順について、グループワーク、ディスカッションを通じて学ぶこと、文章で論理的に主張する能力を高めることを目的としています。内山先生と渡辺で担当しています。

ところで、高校生の皆さんが考える「大学での学び」は、どんなものでしょうか?

知識や技術を身につけることは、容易に想像されると思います。

それらは、答えが1つであったり、複数あっても「答えが決まっている」ものに留まる場合があります。

しかし、生身の人間を相手にする言語聴覚士の場合、実際の臨床場面で求められる答えが、常に1つであるわけではありません。また、そもそも「答えが決まっていないこと」もあります。「ある病態について知識がある、検査方法を知っている、訓練方法を知っている」だけでは、的確な言語治療や支援は行えません。あらゆる可能性を視野に入れながら、常に最善を目指して「考えること」が、とても大切です。そのためには、知識や技術を丸暗記するのではなく、他者からの批判的意見も受け入れつつ多様な観点に基づいて「分析・考察すること」が、必要です。

 

この授業では「あるテーマ」に対してグループワーク、ディスカッションを行い、コミュニケーションと課題解決方法の基礎について、学生たちは学んでいます。「答えのない答え」について考えることは、実に難しいことと思います。でも、皆さんは、楽しみながら意欲的にディスカッションに参加し、自分ひとりでは気づきにくい他者の考え方、価値観などを互いに共有し、考えを深め合っていますよ。素晴らしいですね。

 

授人以魚、不如授人以魚」(人に魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えなさい)というのは、老子のことばですね。

大学で学ぶということは、まさにこれに相通ずることだと思います。仮に、知識や技術が魚だとすると、知識や技術を身につけるだけでは、言語聴覚士の仕事はできません。「なぜ、その知識や技術が導き出されたのか」を考えて理解し学ぶことが大切です。そうすることで、「1つだけではない答え」を探すことができるようになります。また、受け身ではない自発的な「思考」や「行動」に繋がりますね。

 

大学の建物の窓ガラスに、上記のポスターが掲示されていました。

「答えは、ひとつじゃない。自ら発見する学びがここに。」

東京工科大学だから見つかる答えを、一緒に探してみませんか。

知っていると会話が広がる

| 投稿者: うちやま

「プロ野球」

「大相撲」

「演歌・軍歌・昭和歌謡」

 

これは、私が言語聴覚士になってから詳しくなった、ベスト3

特に男性の患者さんとの会話では、よく話題にあがりました。

 

言語聴覚士が関わる患者さんには、言いたいことを言葉でスムーズに伝えることが難しくなっている方がたくさんおられます。

応援しているチームや選手のことを伝えたいと思っても、そのチーム名や選手名が言えないことがよくあります。

名前の最初の文字だけ言えたり、名前の一部だけ漢字が書けたり、特徴を身振りで示したり、

患者さんから断片的に伝えられる情報をもとに、内容を推測しながら会話をしています。

そのため、その話題を「知っている」と、「このことですね!」とすぐに推測がしやすくなります。

 

Sumo_dohyou_tsuriyane外来通院での言語聴覚療法の一場面で、ある失語症の患者さんが「白」の文字を紙に書いてくれました。

私は、その患者さんが大相撲を楽しみにしており、勝敗の星取表を自分で記入していること、横綱白鵬を応援していること、全勝優勝がかかっていること、昨日の取組でも勝ったこと、を知っていました。

患者さんの「白」の文字を見て、大相撲の白鵬の話題だとすぐに分かりました。

「昨日も白鵬勝ちましたね!」と伝えると、大きく頷いて、ゆっくり「勝った」と言ってくれました。

そして、私の言葉を真似してもらいながら、「白鵬が、勝った」「昨日も、勝った」「昨日も、白鵬が、勝った」と言葉の練習をしていました。

 

意外なことが、会話や訓練のきっかけになることもあります

色々なことに興味をもてると良いですね

鏡とこうかとん

| 投稿者: うちやま

__20210917100501久しぶりにSTこうかとん紹介しますよ~

こちらのSTこうかとん「鏡」を持っていますね!

実は、鏡はSTの必需品の一つです。

私は、言語訓練室には「卓上鏡」、ユニフォームのポケットには「手鏡」

必要なときにはすぐに使えるようにしていました。

 

どんなときに鏡を活用するかというと・・・

例えば、お子さんと発音の練習をするときに、口の動きを鏡で確認しています。

「ぱ」と発音するときには、唇が閉じます。

「た」と発音するときには、舌の先が上の歯の裏側につきます。

このように発音の仕組みを説明する際に、お子さんや患者さんが、自分の口の動きを目で見て確認することはとても大切なんです。

最初にSTがお手本を示し、鏡で口の動きを見ていただきながら、正しく発音する練習を一緒にします。

 

以前のブログでも紹介しましたが、私は言語聴覚士1年目のときに100円ショップで購入した鏡をずっと愛用していました

言語聴覚療法には、皆さんの身近にあるものをたくさん活用しています!

またご紹介していきますね~

人となりはそのまま

| 投稿者: うちやま

Photo_20210909170101
先日のブログ
で、脳梗塞で重度の言語障害を発症された患者さんをご紹介しました。

実は、私は、普通におしゃべりができていたころのこの患者さんを知っています。

どうしてだと思いますか??

 

患者さんは、重度の言語障害になられる前にも、脳出血・脳梗塞を発症されて入院していた時期があるのです。私は、入院中はもちろんのこと、退院され外来通院となられてからも言語訓練を担当しました。

このとき、患者さんには身体の麻痺はありませんでした。
ただ、スムーズに話すことや文字の読み書き、メールなどが難しくなっていました。

入院中は午前・午後と1日2回、個別での言語聴覚療法を行っていましたし、非常に熱心に取り組まれる方なので、自室でも練習できるよう課題もお渡していました。

退院された後は、週1~2回頻度で通院されリハビリテーションを継続していました。患者さんの改善の状態に合わせて、少しずつ通院の頻度は減っていき、日常的なコミュニケーションに困ることがなくなり、言語訓練は卒業となりました。

 

この患者さんは長く趣味で音楽活動をされていた方です。なんとアマチュアのオーケストラでチェロを担当されていました。少しずつ音楽活動を再開され、バイオリンを担当する奥様と一緒に、定期演奏会にも全曲に出演されました。

クラシックの曲名や海外の作曲者名などは、カタカナで聞きなれない言葉が多いので、

失語症状がほとんどなくなってからも言い間違いをしやすく、「味わうにはもう少し…」とよく仰っていました。

自分からたくさんお話されるタイプではありませんが、穏やかでユーモアのある素敵な方です

脳梗塞を何度も経験されて、言葉を話すことは難しくなっている患者さんですが、奥様がお知らせくださった近況からは、課題に熱心に取り組んだり音楽に感動したりされているそう。

昔と変わらないなぁ…と感じています

言語訓練を終えた後も、患者さんが奥様やご家族とともに、毎日を過ごしておられる様子を伺うことは、言語聴覚士としての何よりの喜びです。

※ブログ掲載にあたり、ご本人と奥様に了承を頂いております。

残された機能を最大限に生かす!リハビリテーション

| 投稿者: いくい

Photo_20200925150401 Photo_20200917152401 こんにちは! 

夏休みが終わり・・・東京オリパラが終わり・・・秋雨の季節になりました。

先週はボッチャの紹介をしました。ペアも団体戦でも「ビタビタ」のスーパーショットが連発。メダルを獲得しました。おめでとうございます!ミリ単位を競う投球技術と先を読む頭脳戦に見入ってしまいました。競技としての面白さで人気急上昇中のようです。今後は、全国大会や世界大会などをテレビ中継してくれるようになるといいなと思っています。 

今、見てくださっているブログは、

医療保健学部 リハビリテーション学科 言語聴覚学専攻のブログです。言語聴覚士は コミュニケーションと摂食嚥下の障害を専門にしている、医療職であり、リハビリテーションの領域の職業です。 

パラリンピックに関連して、「残された機能を最大限に生かす」ということをたびたび耳にし、目にしました。これはリハビリテーションの考え方の中核となるもののひとつです。東京パラリンピックを通して、障害について、リハビリテーションについて、あらためて考え、興味を深めたかたも多いかと思います。東京パラリンピックは終わりました。でもパラリンピックは続きます。来年には冬季パラリンピックも開催されます。もうパラリンピックのことを忘れてしますのではなく、これをきっかけにここから興味をどんどん広げて深められればと思います。

障害やリハビリテーションについて・・・というとなじみがないようでしたら、まずは、パラリンピックの歴史を調べてみるのも良いかもしれません。

日本パラリンピック委員会|パラリンピックとは|パラリンピックの歴史 (jsad.or.jp)

 

患者さんからの言葉

| 投稿者: うちやま

Photo_20210901181501これは、私が病院を退職するときに、長く担当した患者さんからいただいたお手紙

奥様と一緒に、病院まで届けてくださいました。

脳梗塞の後遺症で、右半身の麻痺と、重度の失語症高次脳機能障害のある患者さんです。

病気を発症して数年が経過して、外来通院でのリハビリテーションは卒業となり、介護保険サービスを利用しながら、奥様とご自宅で過ごされています。

 

最初のころは、机に向かって課題に取り組むことすら大変でした。
自分の名前を言うことも、私やご家族の言葉を理解することも、とても難しくなっていました。

今もなお、コミュニケーションの難しさがあります。
それでも、一つ一つできることが積み重なっていく過程を、患者さん・奥様と共有していました。

長く一緒に訓練をしていたので、この一言を書くことがどれほど大変であったのか、すぐに分かりました。
左手で、きっと何度も書き直して、届けてくれたのだと思います。

言葉を話すことは難しいけれど、昔に比べて、表情が柔らかく、穏やかになったことがとても印象的でした。

言葉を交わすことだけがコミュニケーションではないと改めて教えてくれた、大切な患者さんの一人です

※ブログ掲載にあたり、ご本人と奥様に了承を頂いております。

9月1日は言語聴覚の日

| 投稿者: わたなべ

Photo_20210831191601

9月1日、今日は何の日でしょうか?

(ブログタイトルと画像に、答えが出ていますが、気にしないでください  )

 

防災の日? キウイの日? 民法ラジオ放送開始記念日? くい(杭)の日?

いえいえ、私たち言語聴覚士にとって、とても大切な日なのです。

それは…「言語聴覚の日」なのです!

 

国家資格「言語聴覚士法」は、1997年12月に公布され、1998年9月1日に施行されました。

そのことを記念し、2007年から、日本言語聴覚士協会では、9月1日を「言語聴覚の日」と定めました。そして、前後1週間を「言語聴覚週間」として全国各地で広報活動を行ってきました。残念ながら、この2年間はコロナ禍で集会型活動は中止となっていますが、再開できる日が来ることを待ち望んでおります。

なお、1999年3月に第1回言語聴覚士国家試験が実施され、4,003名の国家資格をもつ言語聴覚士が誕生しました。それ以来、毎年2月に1回ずつ国家試験が実施されています。

国家資格になる前は、どうだったのでしょうか?

実は約50年前くらいから、我が国では言語聴覚療法に従事する専門職が存在していたのです。当時は国家資格はありませんでしたが、病院や施設で言語療法士、言語治療士などの名称で専門的なサービスを提供してきました。小生も含め、本専攻には国家資格ができる前から言語聴覚療法の専門職として活躍してきた教員がいますよ。入学したら、当時の様子を個人的に聞くことができるかもしれませんね。

 

言語聴覚士が使う医療機器

| 投稿者: うちやま

Pulseoximetermedicalequipment

最近のニュースで、この機器を指先にはさんで測定している映像をみかけますね。

「酸素飽和度」という言葉を聞いたことはありませんか。

これは パルスオキシメーター という医療機器で、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定します。

測定された数値は、患者さんの呼吸状態を知る一つの目安となります。

健康な人は95%以上の値が保たれていますが、肺炎や気管支喘息などの肺の病気や、心臓の病気によって体に酸素を取り込む力が落ちてくると、数値が低下します。

コロナ前から、私も、病院でパルスオキシメーターを頻繁に使用していました

 

病気や事故で入院したばかりの患者さんは、主治医の指示のもと入院早期からリハビリテーションが開始されます。

ただ、この時期の患者さんは、全身状態が不安定なことが多く、急に具合が悪くなることがあります。

そのため、言語聴覚士は患者さんの状態をチェックしながら、十分注意しながらすすめる必要があります。

特に、飲み込みの訓練をする際は、訓練の中でゼリーを食べたり、時にはむせたりしたときに、患者さんの状態が急に変化がすることもあります。パルスオキシメーター聴診器血圧計などをつかって、患者さんの状態に変化がないか、注意深く観察していました。

訓練室ではなくベッドサイドで訓練をする場合には、患者さんのベッド周辺にあるモニターに表示される心電図や、点滴、酸素吸入、痰の吸引状況なども細かくチェックしていました。

もちろん、その日の様子をカルテで確認したり、病棟の看護師さんや他の担当スタッフと直接情報共有することも、とても大切です。


Stethoscope
Sphygmomanometermedicalequipment

言語聴覚療法を行う際には、言語聴覚士自身が患者さんを観察して、状態を確認することは、非常に重要です。

それに加えて、さまざまな機器やカルテに記載されている数値を確認し、患者さんがどのような状態であるか(数値が何を意味しているか)を把握することも重要です。

安全に言語聴覚療法を実施できるか/実施できているかを、常に考えながら患者さんに対応する必要がありますから。

こういった知識は、「小児科学」「リハビリテーション医学」「一般臨床医学」など、さまざまな専門基礎科目の中で確認していきます。

言語聴覚士のために必要な医学的な知識をしっかり学んでいきますよ~

言語聴覚士は文系でも理系でも大丈夫

| 投稿者: うちやま

Photo_20210820092401この夏休み中に、進路について考えている高校生の皆さんも多いと思います

医療・福祉関係だけでも様々な専門職があります。在学生の中には、身近な人がきっかけとなり「言語聴覚士になりたい」と明確に思った学生さんもいれば、「色々調べているうちに興味を持って入学しました」という学生さんもいます。

私自身は、聴覚障害のある姉の存在が言語聴覚士を目指した理由の一つではありますが、大学で4年間学び、現場に出て働く中で、言語聴覚士の仕事に対するイメージは入学前から大きく変わりました。

例えば、次のようなことは「言語聴覚学を学ぶこと」「言語聴覚士として働くこと」で深く感じるようになりました。

★言語聴覚士が関わる患者さんは赤ちゃんからお年寄りまで幅広く、言語聴覚士が活躍している場所はたくさんある。

★言語聴覚士の働き方や対象となる患者さんは、働く場所によって異なる。

★患者さんを通して、ご家族や患者さんに関わる様々な専門職と連携して働いている。

学校に入る前は、個室での1対1での言語聴覚療法のイメージが強くありましたが、実はそれは、言語聴覚士の仕事の一側面です。

言語聴覚士の仕事は幅広く、様々な選択肢があることを、進路を考えている生徒さんにも、ぜひ知ってもらいたいな…と思っています

言語聴覚士の仕事は、文系志望でも理系志望でも、活躍できる分野です

石津先生渡辺先生の記事にもある通り、大学に入ってから幅広い内容を学んでいきますよ~

実際、私は高校時代は文系クラスで、数学はⅡBまで、理科は化学・生物だけで、あまり得意ではありませんでした

心配なことや分からないことは、オンラインST教員相談でも、ぜひ聞かせてくださいね

より以前の記事一覧