見てしまう人びと

| 投稿者: うらの

ここ数日、電車の中で夢中になって読んでいる本があります。それがこちら。

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著者はイギリスの神経学者であるオリバー・サックスです。数々の著作には自身の経験した患者さんの症状がたくさん記載されていますので、リアリティをもって様々な症状を学ぶことが出来るのですが、この「見てしまう人びと」には幻覚、とりわけ幻視について書かれています。幻視というのはそこにないものが見えてしまうことを指し、実際にあるものが別のものに見えてしまう錯視とは区別されます。この本では、機能が低下した後に幻視が見える症状である「シャルル・ボネ症候群」について非常に詳しく書かれています。改めて脳の不思議さを感じるとともに、私達の知覚や認知能力というものは断じて正確とはいえず、ちょっとのことで転んでしまうぐらいの繊細なものであることを痛感させられます。ちょうど2年生は「失語・高次脳機能障害学Ⅱ」で幻視や錯視のことを学んだところですが、是非こんな本も読んでみてほしいものだと思います。
ところで今日はクリスマスですね。皆さんも是非楽しいクリスマスをお過ごしください。おまけの1枚は我が家のサンタクロシロースです。

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模擬患者との会話練習

| 投稿者: とやま

12月4日の実習事前指導では、教員が一般高齢者や失語症者になりきって、3年生の会話練習を行いました。

私の担当は「話しことばの理解は比較的良いものの、自分から話そうとするとことば出てこない失語症患者さんの役」です。
3年生には事前に氏名と年齢情報を伝え、あとは会話をしながら患者さんの発話を引き出していきます。

私の印象としては、模擬患者を質問攻めにしてしまう学生が多かったように思います。
1人6分間の持ち時間で、下記のような一問一答が繰り返されました。
「ご出身はどちらですか?」
「お昼ご飯は何を食べましたか?」
「趣味は何ですか? 好きなスポーツは何ですか?」
「リハビリの時間以外は何をして過ごしていますか?」
「どのようなお仕事をされていましたか?」

会話練習のために地図を持参したり、模擬患者の返答に共感したり、自身の話を混ぜながら会話を展開したりする学生はごく一部でしたが、そのような「やりとり」をしてもらえると、模擬患者としては「うまく言葉は出ないけど、これも話してみようかな」という気持ちになります。

私は、石川県出身・東京都在住 72歳の設定で会話に臨みました。
学生から「私も石川県には行ったことがありますよー、金沢駅には有名な門がありますよね・・・えっと何でしたっけ?」と言われると、頑張って「鼓門」と答えたくなります。患者さんであってもなくても、自信が興味・関心を有する話題や地元の話題について、相手が興味を抱いていると分かると会話は楽しくなりますね🎶

実は先週に引き続き、昨日〜本日も金沢市の開業耳鼻咽喉科医院(言語聴覚外来)へ出張していました。
昨夜、学生との会話を思い出して、ライトアップした鼓門の写真を撮ってみましたー📱

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金沢ネタ以外にも「自分の祖父と同じ世代です!」と言ってくれた学生もいましたが、「祖父の世代が何を経験したのか分からず、それ以上は話を膨らませることができませんでした」と振り返っていました。準備すべきことが一つ見つかりましたね。

実習施設の利用者層の情報を調べたり、年齢に応じた話題を検索したり、はたまた地図や写真を用意しておくだけでも、会話練習の準備になります。
臨床実習までに会話の引き出しを増やそうねー

失語・高次脳機能障害学演習Ⅱ

| 投稿者: かわかみ

後期に担当している科目の一つ、2年生の失語・高次脳機能障害学演習Ⅱについて少しだけご紹介します。

2年前期の演習Ⅰでは主に失語症に関する検査、2年後期演習Ⅱでは主に高次脳機能障害に関する検査について学びます。
高次脳機能障害については、以前のブログ(第46回 日本高次脳機能障害学会 学術総会に参加①)をご参照ください。

本日の演習Ⅱ(高次脳機能障害に関する検査演習)では、2組に分かれて高次脳機能障害の一部である、記憶障害と注意障害の検査について学びました。
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授業前に教室にいた実習直前の3年生からは「今、もう一回この授業受けたい。。。」と切実な声が聞かれました。
臨床実習を控えた3年生は、今必死に勉強しています。

2年生はまだまだ余裕そう〜

2年生では、専門科目をたくさん学びます。
これらの知識を総結集することで、より充実した臨床実習に臨むことができます。

後期の授業も、残りわずか。
試験に向けて日々勉強をコツコツ積み重ねていきましょう!

この時期は、4限の授業が終わるともう真っ暗。
美しい夕焼けとともに、富士山がくっきり見えました。

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保育園実習に向けたシミュレーション演習を行いました

| 投稿者: かわかみ

ST専攻の2年生は、2月〜3月にかけて、4日間の保育園実習を行います。
私はそれに向けた準備科目である、コミュニケーション演習Ⅱという授業を担当しています。

この日は、学生が3人組になり、実習生役、子ども役(2歳:理解は年齢相応も発話無し)、撮影者の3役を役割交代しながら、それぞれの関わりについてグループ内でディスカションしました。

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子どもに絵本の読み聞かせをする場面

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子どもとおもちゃで遊ぶ場面

実習生役は、5分間、子どもの発達年齢や、コミュニケーション特性を踏まえて、自分が考えた関わりをし続けました。
学生達は皆、試行錯誤しながら、発語の少ない2歳の子ども役に対して、様々な工夫を考え、関わりを持っていました。

言語聴覚士は、対象となる方の能力や特性に合わせた関わりから、その方のコミュニケーション能力を育む職業です。
保育園実習は、その第一歩!

言語聴覚士を目指す学生として一歩ずつ成長していくことを期待しています。

残席僅か!9月23日(祝) 授業見学会

| 投稿者: とやま

9月23日(月・祝)東京工科大学では受験生を対象に「研究室・授業見学会」を開催します。
▷ 東京工科大学 研究室・授業見学会のお知らせ

言語聴覚学専攻の授業見学会
対象科目 ✨発声発語障害学Ⅱ✨

☆実施時間 13時30分〜14時45分
☆授業内容 発声発語器官の機能と形態、鼻咽腔閉鎖機能
☆担当教員 生井 友紀子教授
☆教員コメント ことばを作る時に使う器官の欠損や形の異常などがあると、うまく発音ができなくなります。このような障害を理解するために、発話の症状や発声発語器官の機能や形態などを学びます。専門の授業科目を体感し、将来の学びをイメージしてみてください。

授業見学会は「事前申し込み&定員制」です ➰ 残席僅か💦
参加をご希望の方、今でしたらギリギリ間に合います!

下記ページよりお申し込みください。
▷ 授業見学会 申し込みページ

それでは、9月23日(月・祝)3号館でお待ちしていま〜す 
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失語症のある人との自由会話

| 投稿者: うらの

後期授業が始まりました。3年生は年明けからの見学実習(4週間)を控え、いよいよ様々な準備学習を始める時期となっています。
昨日から始まった「言語聴覚総合演習Ⅱ」という科目では、学生が3ブロックに分かれ、模擬患者との自由会話の練習を行いました。クラスメイト、バイト仲間、家族や親戚との会話には慣れていても、初対面で、自分よりもかなり年上で(両親や祖父母世代の場合も…)、しかも失語症のある人との会話はほとんどの学生がこれまで未体験です。身体に障害のある人のためにスロープや手すりがあるのと同じように、失語症のある人にも、症状に合わせた援助を聞き手がする必要があります。2年次・3年次で失語症のある人との会話ではどういう配慮や援助が必要かを繰り返し学修し、学生同士で練習も重ねてはきましたが、いくら講義・演習資料を穴が空くほど眺めてみても、友達同士で練習してみても、援助の仕方を真に理解することは絶対に不可能です。実際に体験してみるしかないのです。本演習での模擬患者3名は教員でしたが、いずれも成人領域の臨床経験が豊富な教員ですので、(アカデミー賞級とはいいませんが)失語症のある方の実状に合わせた振る舞いとなるよう、渾身の演技?で学生との会話に臨みました。
どの学生も緊張した面持ちで模擬患者の前に座り、懸命に会話を展開しようと必死に頑張りました。しかしながら、実際の失語症のある人(模擬患者ですが…)を前にすると、これまで座学で学んできたことや、友達同士で練習したことなどは一気にどこかへ吹き飛んでしまうようです。どうしていいかわからなくなってしまった学生もおそらく少なくないことでしょう。演習中盤に一旦タイム!として練習を止め、学生の会話はどういう点がまずかったのか、どうすればよりよいに援助につながるのかを、教員兼模擬患者からアドバイスをしました。するとその後、少しずつ改善がみられる学生が増えてきました。
90分の演習を終え、へとへとだったに違いありませんが、終了時の教員からのアドバイスにも全員、真剣に耳を傾け、盛んにメモを取る様子が見受けられました。また来週もやりますよ!!少しずつ慣れていきましょう!!

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失語・高次脳機能障害学演習Ⅲ

| 投稿者: うらの

今日は3年前期で履修する「失語・高次脳機能障害学演習Ⅲ」について少しご紹介します。
本学では2年生から失語症の学修を始めます。2年生は基礎的な知識や検査練習が中心ですが、3年生ではより臨床に近いところを学んでいきます。3年生は4月から、1~2例の模擬症例のデータをみながら、その都度グループに分かれて失語症のタイプ分類、掘り下げ検査の選択、訓練プログラムの立案と、少し難解な課題に一生懸命取り組んできました。
そして先週。グループごとに立案した訓練プログラムをもとに、PCで教材を作成しました。無料サイトからイラストを取ってきて貼り付けたり、目標語や文を記入したり、回答欄の四角やカッコを美しく作ったり・・・。最初はどのグループも手探りでしたが、徐々に慣れてくるとグループ内での役割分担(分業)も非常にスムーズでした。遊んでいる人などひとりも出ず、どの学生もむしろ、とても生き生きとしていました。
教材が出来上がったら今度は全体に向けてプレゼンテーションです。分業で作業をしていましたので、それぞれ自分が分担したパートについて「どのように考えて作ったか」「どういう点を工夫したか」などを、プロジェクターに投射された教材を指しながら説明してもらいました。どの学生も、自分のグループ以外の発表を真剣に聞き、それぞれの優れた点や工夫を大いに学んだようです。苦労して作った教材はグループだけでなく、クラス(学年)全体で共有しようという提案に満場一致で賛成の手が挙がりました。単に苦労の思い出としてだけでなく、先々の実習や、免許取得後の臨床活動にきっと役立つに違いありません。
以下は授業後、寄せられた学生からの感想です。「色んな意見が出てきていてとても勉強になった。」「自分たちの班じゃ出てこなかった意見が沢山聞けて良かった。」「どのような訓練をしたら良いかが分からなかったものの、グループメンバー全員で討論を行ったことによって、意見がまとまったり新しい発見があった。」
是非この気持ちを忘れずに、この先の学修や実習準備、そしてその先の国試へと、仲間同士力を合わせて取り組んでほしいものですね。

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言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか

| 投稿者: うらの

ある日の失語・高次脳機能障害学Ⅰ(2年前期で学修します)でのひとコマです。聴力は正常でありながら、言語音の弁別(例:/da/と/ta/の弁別が出来ない)の障害の話をしたところ、とある学生から「オノマトペ(例:ワンワン、ニャーニャー、ザーザー)はどうなのか(=通常の言語音と同じ処理なのか)」という主旨の質問がありました。うーむ、深い質問がきましたね・・・。この件、この本の中で少し紹介されています。

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音の処理は左半球の上側頭溝周辺が重要な役割を担い、環境音(例:救急車のサイレン、動物の鳴き声)の認知は右半球の上側頭溝周辺が重要であるということは既に知られていることですが、オノマトペはどうなのか。筆者は機能的MRIをいう手法を用い、この点を検証しています。詳細は省略しますが、非常にざっくり言うと、大股で歩く動画に対し、その動画に合う「ずんずん」というオノマトペを一緒に見た場合、左右どちらの上側頭溝も活動するものの、左に比し右半球の上側頭溝で強い活動が認められたということのようです。すなわち、私達はオノマトペについて、言語音と環境音の二重処理をしているということになりますね。
この本、オノマトペを中心に、子どもがどのように言語を習得していくか、その過程でどんな誤用が生じるのか、日本語以外の他の国の言語ではどうなのか、などなど様々な視点から言語の本質に迫ろうとしている、非常に魅力的な1冊です。やや難しいところもあるかもしれませんが、言語聴覚士を目指そうとする人には是非、一度読んでいただきたいですね。
ちなみに私は、毎日通勤電車の中で読んでいたのですが、つい本の中に入り込みすぎてしまい、自宅最寄り駅に到着しながらも全く気づかず、気がついたら2駅先だったことがありました・・・。

発声発語障害学Ⅲの検査演習(続)

| 投稿者: とやま

5月27日から始まった標準ディサースリア検査(AMSD)の検査演習も来週で一区切り➰▷発声発語障害学Ⅲの検査演習
受講生2名がペアを組み、今週までに計4コマの演習を実施しました。

検査演習を通して➰👀 言語聴覚士役の学生
「口腔内を触る時の力加減が難しい、不快感や負担感を与えないように気をつけたい」、「運動の回数を数えながら記録をとることが難しい」、「検査用具の衛生管理に気をつけたい」 などの感想が寄せられました。

また、患者役の学生からも 「言語聴覚士役も疲れるが患者役はもっと疲れる、患者さんの負担を最小限に抑えなければならないと感じた」、「検査中に励ましてもらえると頑張れる!」、「バイトブロックの挿入位置によって噛みやすさが全然違う」、「打診器でガツンと叩かれると痛い!」 といったリアクション📩

言語聴覚士役と患者役の双方を経験することで、新たな気づき&学ぶべき内容がありますね✨

来週の発声発語障害学Ⅲは、標準ディサースリア検査(AMSD)を全項目実施
その後、標準失語症検査補助テスト(SLTA-ST)の「発声発語器官および構音の検査」 の演習へと進みます。
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標準ディサースリア検査(AMSD)▶︎ 標準失語症検査補助テスト(SLTA-ST)
使用する検査が変わっても、発声発語器官の観察ポイントは不変です!

来週の検査演習も頑張ろう 

発声発語障害学Ⅲの検査演習

| 投稿者: とやま

3年生の発声発語障害学Ⅲでは、いよいよ構音検査の演習が始まります。
発声発語障害学? 今月の授業見学会で見ていただいた(あの?)科目です👀
▷ 5月6日 授業見学会を開催します

発声発語障害学Ⅲは、発声発語器官(ことばを話すための器官)の構造と神経・筋肉、病理学などの復習 → dysarthriaの定義と特徴(授業見学会の内容)を経て、運動の観察と声の評価までを学びました。
来週月曜からペア・ワークによる検査演習が始まります。
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検査演習では、話し方や声の特徴に加えて、口・顔面の動きを観察したり、呼吸回数を数えたり、鼻からの息漏れを測定したりと、ことばを話すための機能を項目ごとに観察・評価します。

来週の発声発語障害学Ⅲで演習する検査は、標準ディサースリア検査(AMSD)
4年生の外部臨床実習で(実際の患者さんを相手に)実施するかもしれないメジャーな検査です。
検査演習の後は、1人で実施できるようになるまで練習を重ねましょう 

より以前の記事一覧