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マルタで感じた「親切の力」

| 投稿者: いけだ

2025年8月、マルタで開催された第33回国際音声言語医学会(IALP)に参加しました。

その時、とても心に残る出来事がありました。

お昼ごはんはビュッフェ形式でした。料理をお皿に盛ることはできたのですが、用意された席はすべて埋まっており、どこで食べればよいのかわからず会場をさまよっていました。

すると、企業展示ブースの担当者の方が声をかけてくださいました。

「ここで食べなさい」

展示スペースなので営業の邪魔になってしまうと思い、一度はお断りしました。しかし、その方は笑顔で「大丈夫だから」と勧めてくださり、お言葉に甘えて席をお借りすることにしました。

さらに、私が写真を撮っていると、「カメラマンをしますよ」と申し出てくださいました。
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写真では、一見するとカオスな状況に見えますが、親切にしていただいたおかげで、私も川上先生も心がホッコリしています。

見知らぬ私たちにここまで親切にしてくださったことに、ただただ感謝の気持ちでいっぱいになりました。この出来事以来、マルタという国、そしてマルタの人たちのことが大好きになりました。

そして同時に、「親切とは何か」について改めて考えるきっかけにもなりました。

以前から、親切にしていただくと感謝の気持ちは抱いていました。しかし最近は、「他者に親切にすること」は決して簡単なことではないと感じています。だからこそ、さりげなく他者に親切にできる人を尊敬するようになりました。

親切とは、相手の立場や気持ちを思いやり、その人のためになるように行動することだと思います。

そして、他者に親切にできる人というのは、心に余裕があり、周囲の人のことを自然に気にかけている人なのではないかと感じています。

大学でも、時々こんなことがあります。

大きな荷物を持っているときに、学生さんがドアを開けて待っていてくれることがあります。荷物を一度置いてドアを開ける手間が省けたことも嬉しいのですが、それ以上に、その「気持ち」がとても嬉しいのです。そして不思議なことに、そういう時は元気が出てきます。

親切にされると、人は下記のような気持ちになるのではないでしょうか。

◆嬉しい・温かい気持ちになる:「自分のことを気にかけてくれた」と感じ、心が温かくなる。
◆安心する:困っているときに助けてもらうと、「一人ではない」と感じる。
◆感謝の気持ちが湧く:「ありがたい」「お礼をしたい」という気持ちになる。
◆自分も誰かに優しくしたくなる:親切を受けると、次は自分も誰かに親切にしたいと思う。
◆自分の存在が大切にされていると感じる:「自分は大事にされている」という感覚が生まれ、自己肯定感にもつながる。

私たち言語聴覚士は、障害によって傷つき、苦しんでいる方と向き合います。そして、その方と一緒に「改善を目指して歩んでいきましょう」と、時には導き、時にはそっと背中を押す仕事です。

もちろん、専門的な知識や技術はとても重要です。しかしそれと同じくらい、相手を思いやる気持ちやそれを行動に移す力も欠かせないものだと思います。

それは臨床の場に出てから突然身につくものではありません。

普段の生活の中で、相手の気持ちを想像すること。ちょっとした声かけや行動をすること。そうした小さな積み重ねが、誰かが歩き出すための「ガソリン」になることもあるのです。

マルタで出会った一つの親切は、私にとってとても温かい記憶であると同時に、「自分もこうありたい」と思わせてくれる出来事でした。

臨床の場だけではなく、日常生活の中でも、これからも他者を思いやる気持ちを大切にしていきたいと思います。

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