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小さな工夫が大きな変化に ~「入れ子」教材から学んだこと~

| 投稿者: いけだ

子どもを対象とした臨床をしていると、毎日のように新しい発見があります。

今回はその中から、「教具の持たせ方ひとつで、子どもの反応が変わった」という、私自身とても印象に残っているエピソードをご紹介します。

下の写真の教具は、通称「入れ子」と呼ばれるものです。
大きさの異なるカップを順番に重ねたり、入れたりして遊ぶシンプルな教材ですが、目と手の協応、形の弁別、自分のペースではなく他者と共同作業を行うなど、さまざまな力を育てることができます。臨床の現場ではとてもよく使われます。

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まだ養成校在学時の学生だった頃、小児施設での臨床実習中のことです。
実習指導者の先生の訓練を見学していたとき、それまではどうしても「入れ子を重ねる」こどができなかった子どもが、数試行目から突然スッと重ねられるようになったのです。

訓練後、実習指導者の先生から「何を変えかわかりますか?」と聞かれましたが、当時の私は答えることができませんでした。

その後のフィードバックで、「入れ子の持たせ方」を変えていたことを知り、とても驚いたのを今でも覚えています。
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【写真上】のような持たせ方から、【写真下】の持たせ方に変えただけで、子どもの試行スピードがグッと速くなり、指示どおりにカップを重ねられるようになりました。

本当に小さな違いですが、その小さな違いが、子どもの行動を大きく変えたのです。

関わり方の工夫が、子どもの可能性を引き出すことを学びました。

そして今でも、この経験は私の臨床の原点のひとつです。

子どもとの関わりは、一筋縄ではいきません。
うまくいかないこともありますが、その中で「ちょっとした工夫」がうまくハマったときの喜びは、言葉にできないほど大きなものです。
それこそが、小児臨床の難しさであり、面白さだと今では思っています。

こうした臨床現場での気づきや工夫について、11月上旬に開催される公益社団法人発達協会主催「2025年秋のセミナー」でお話させていただく予定です。
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S15 発達障害・知的障害のある子の育ちを支える教材の支援の実際  
    3. 言語・コミュニケーションを育てる教材と支援の実際 
        池田泰子(東京工科大学)
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小さな工夫が、子どもの大きな一歩につながる。そのような「現場の面白さ」をお伝えできたらと思っています。

詳細は、発達協会HPをご覧ください。
発達協会HP

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