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言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか

| 投稿者: うらの

ある日の失語・高次脳機能障害学Ⅰ(2年前期で学修します)でのひとコマです。聴力は正常でありながら、言語音の弁別(例:/da/と/ta/の弁別が出来ない)の障害の話をしたところ、とある学生から「オノマトペ(例:ワンワン、ニャーニャー、ザーザー)はどうなのか(=通常の言語音と同じ処理なのか)」という主旨の質問がありました。うーむ、深い質問がきましたね・・・。この件、この本の中で少し紹介されています。

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音の処理は左半球の上側頭溝周辺が重要な役割を担い、環境音(例:救急車のサイレン、動物の鳴き声)の認知は右半球の上側頭溝周辺が重要であるということは既に知られていることですが、オノマトペはどうなのか。筆者は機能的MRIをいう手法を用い、この点を検証しています。詳細は省略しますが、非常にざっくり言うと、大股で歩く動画に対し、その動画に合う「ずんずん」というオノマトペを一緒に見た場合、左右どちらの上側頭溝も活動するものの、左に比し右半球の上側頭溝で強い活動が認められたということのようです。すなわち、私達はオノマトペについて、言語音と環境音の二重処理をしているということになりますね。
この本、オノマトペを中心に、子どもがどのように言語を習得していくか、その過程でどんな誤用が生じるのか、日本語以外の他の国の言語ではどうなのか、などなど様々な視点から言語の本質に迫ろうとしている、非常に魅力的な1冊です。やや難しいところもあるかもしれませんが、言語聴覚士を目指そうとする人には是非、一度読んでいただきたいですね。
ちなみに私は、毎日通勤電車の中で読んでいたのですが、つい本の中に入り込みすぎてしまい、自宅最寄り駅に到着しながらも全く気づかず、気がついたら2駅先だったことがありました・・・。

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