« オリンピックと受験 | トップページ | 手編みといえば・・・ »

錯視,心理学,言語聴覚士,AI

| 投稿者: わたなべ

Photo_20220209145201

(転載:北岡明佳先生の「錯視のカタログ」)

 

この図の中央にある線分の長さ、どちらが長いでしょうか?

 

直感的には、下の図の方が長く見えると思います。でも、実はどちらも同じ長さなのですよ。

これは、「ミュラー・リヤーの錯視」といって、心理学では有名な図です。

疑い深い方は、実際に定規で線分の長さを測ってみてくださいね。矢羽根の部分ではなく、あくまでも中央にある「線分」の長さです。

 

このような錯視を含めて、人間の感覚、認知に関することを、本専攻では2年生の「認知・学習心理学」そして3年生の「心理測定法」などで学びます。

言語聴覚士が携わる業務内容は、実は「心理学」そのものと言っても過言ではありません。

音を聴かせて聴こえを測定する聴覚検査も、失語症の言語検査も、全部「心理検査」と捉えられています。

それは、どうしてでしょうか?

 

物理的な音や、物理的な絵カードを使っていたとしても、その刺激を対象者に与えて反応を回収するという過程は、心理的な過程を必ず経るからです。マニュアル通りに器具や用具を操作すれば、誰にでも簡単に務まる仕事ではありません。対象者の反応をよく観察して、導き出されたその結果が、真に正しいものかどうかをよく吟味、検討する必要があります。

そういう点では、言語聴覚士の仕事は、AI(人工知能)では代えられないと言われています。

(参考:「人工知能やロボット等による代替可能性が低い100種の職業」,野村総合研究所,2015)

 

閑話休題

冒頭の錯視に興味を持たれた方は、 もぜひご覧ください。先ほどの錯視をオープンに公開されている立命館大学の北岡教授の個人サイトです(北岡教授には感謝申し上げます)。できれば、スマホではなく、PCで少し大きめのモニタでご覧になられると、効果的に錯視を体験できると思います。

 

そして、錯視に興味を持たれたら、人間の認知機能の障害について、いろいろと学べる言語聴覚士のお仕事にも、ぜひ関心を持っていただきますと嬉しく思います。

« オリンピックと受験 | トップページ | 手編みといえば・・・ »