ハロー CQ、CQ
| 固定リンク 投稿者: わたなべ
つい先日、私がSTの学生時代に授業を受けた恩師に、約25年ぶりにメールでご挨拶する機会に恵まれました。先生のメール署名欄に、アマチュア無線のコールサインが表示されていて、とても嬉しく思いました。かくいう私も、実はアマチュア無線免許を持っていたからです。
アマチュア無線の免許を取得したのは、中学1年生の春休みでした。まだ理科の授業でΩ(オーム)やHz(ヘルツ)など習っていませんでしたが、中学校の勉強そっちのけで、アマチュア無線の受験勉強を何か月か独学でやっていました。今思うと、このときに勉強した電波の性質は、その後、STとして「音声(音波)」を理解するのに役立ちました。どちらも「波」の性質で共通だからです。
スマホはおろか携帯電話も無い時代でした。時刻表を確認しながら新潟から試験会場のある長野市まで、雪の残るなか汽車で丸1日がかりの一人旅でした。今ではとても考えられないことですよね。ちなみに、アマチュア無線は国家資格です。私にとって生まれて初めての国家資格でした。ご存じと思いますが、STの資格も国家資格ですよ。
自分でアンテナを組み立てて家の2階の屋根に設置しました。普段は地元新潟の近くの人と交信することが多かったですが、電波状況が良いと、大阪、種子島(鹿児島)あたりまで電波が飛んでいました。稀に、さらにもっと遠い外国の方と交信したこともあります。電波の特性で、電離層に電波が反射しながら進むため、同心円状で一定の距離ごとに電波が届きやすくなります。新潟から大阪(関西)、鹿児島(九州)と、地図で確認すると分かるように届くエリアが飛び飛びなのです。逆に中途半端な距離の東京・長野や岡山・広島あたりには、新潟からは届きにくかった印象です。
FMではなくAM電波で出力も弱かったので、雑音が多くて聞き取れないことも多々ありました。そのため、フォネティックコード(Jをジュリエットと呼ぶような決まりごと)を含め、相手に的確に必要な情報を伝えること、そして相手がどこまで理解して、自分も相手のどこまでを理解しているかを手際よく交信する必要がありました。交信相手は、ほとんどが初対面の方です。自分よりも格段に年配の方が多かったです。多様な人と多様なシチュエーションで行うコミュニケーションの難しさ、そして楽しさについて学ぶ、良い経験をしたと思います。
画像のような「QSLカード」というものを、JARL(一般社団法人 日本アマチュア無線連盟)を通じて、郵送で交換していました。カードの裏面(表面?)には自分で描いたイラストを載せました。当時まだ開通して間もなかった上越新幹線と、佐渡の朱鷺、そして佐渡おけさです。佐渡の人間でないのに、新潟を代表する朱鷺はともかく、何故、佐渡おけさを描いたのか、当時の自分に小一時間くらい問い詰めてみたいです。日本地図もかなりいい加減ですよね(冷や汗)。
交信状態を含めた交信記録をカードに記載して、相手に送ります。ちなみに、私の基地局のコールサインは、今は廃局になっています。他の人に再利用されていないようですので、久々に復活させようかなと夢見ています。今はスマホでの通話やメール、LINEなどで会話を気軽に安定して楽しめる時代ですよね。そのせいもあってか、アマチュア無線の愛好家も当時に比べて激減しているようです。
STの患者さんでご高齢の方のなかには、もしかしたら若いときにアマチュア無線を楽しんでいたという方もいらっしゃるかもしれませんね。相手の趣味を知り、それを会話訓練に取り入れることは、とても有益です。私が患者になったら、ぜひアマチュア無線の模擬交信で楽しませてほしいですね。若いSTの皆さん、よろしくお願いします!
ハロー、CQ、CQ。こちらは、ジュリエット ロメオ ゼロ リマ ユニフォーム シィアラ JR0LUS です!