深く掘るには幅がいる
| 固定リンク 投稿者: わたなべ
急に肌寒くなってきましたね。秋と冬が共存しているような感じですね。
さて唐突ですが、皆さんは「めざしの土光さん」をご存じでしょうか?土光敏夫さんです。昭和時代の実業家で、大企業の社長・会長を歴任し、経団連の会長にも就任されました。徹底した合理化、質素な生活ぶりで知られ、国の行政改革についても答申をまとめ、三公社(国鉄、専売公社、電電公社)の民営化を提唱しました。その結果、国鉄はJRに、専売公社はJTに、電電公社はNTTに、それぞれ民営化されました。ご自身が質素な生活を徹底されたからこそ、国にも大きく物を言うことができたわけです。
土光さんは製造畑エンジニアリングの専門家として猛烈に働き、合理的な経営手腕も発揮しました。彼が語った「深く掘るには幅がいる」という言葉は、いわゆる「専門家」を自称する我々にとって、大切にしないといけないことばと思います。
彼は、専門家が自身の分野ばかりに特化することを危惧しました。「(専門領域について)本当に深まるためには、隣接の領域に立ち入りながら、幅を広げていかなければならない。深さに比例して幅が必要となる」と語ったそうです。
いわゆる「専門馬鹿」ということばがありますが、専門以外の社会的常識を身に着けることはもちろんのこと、むしろ専門性を深める(高める)ためにこそ、幅を広げないといけない、という考えは、本当に金言ですね。
考えてみれば、穴を掘るだけではなく、山を高く積み上げるときにも、幅が必要ですね。すそ野が広いからこそ高い山になります。すそ野が狭い山は、いくら高くてもいずれ崩れるかもしれず、危ういですね。
言語聴覚士の専門領域は、元々学際的な性質があるため、我々言語聴覚士は、特に関連領域について幅広く学ぶことが大切であることを、日々実感しています。
1年生のときには、特に基礎教育科目、専門基礎科目の比重が大きいです。専門科目でないからつまらないとか、身が入らないなどと言わず、何でも楽しく学んでいきたいものです。人生に無駄なものは一つもありませんので。もちろん、大学の授業以外のことも、いろいろと学びたいですね!
いろいろなことに対して知的好奇心が旺盛な方にこそ、言語聴覚士を目指してほしいと思っています。また、言語聴覚士になったあとも、様々なことについて探求心をもって接していきたいものですね。