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元気の源

| 投稿者: うちやま

言語聴覚士は、「食べること」「飲み込むこと」が難しくなった摂食嚥下(えんげ)障害の患者さんに対する支援を行っています。摂食嚥下障害の原因やその症状は様々です。言語聴覚士は飲み込みに関する評価をするのはもちろんのこと、医師、歯科医師、看護師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士、薬剤師、歯科衛生士など多職種との嚥下チームで、カンファレンスをしながらリハビリテーションをすすめていきます。

私が担当したある患者さんは、重度の嚥下障害で口から食事を摂ることが難しく、鼻から胃までチューブを入れて栄養を摂っていました。そして、主治医の指示のもとに、言語聴覚士の訓練のときだけ、口から数口食べる練習をしていました。

患者さんの嚥下機能に合わせて、トロミのついたお茶やゼリーで訓練をしていましたが、あるとき患者さんからこういわれました。

「こんなもんじゃ、食べた気がしない。せめて毎朝飲んでいたあれが飲みたい。」

その患者さんは毎朝栄養ドリンクを飲んでいたそうです。「あれが元気の源だ」とお話されていました。

私は患者さんの希望を病棟の看護師と嚥下チーム内で共有し、主治医の許可をもらいDrink_energyました。そして、ご家族にお願いして自宅から栄養ドリンクを持参していただきました。

嚥下障害があるため、トロミは必要です。そのままの栄養ドリンクの状態だと、上手く飲み込むことができず、誤って気管に入りやすいのです。危険!

そこでトロミをつけることで、水分の流れがゆっくりになり飲み込みやすくなるんです。何でもトロミをつければよいわけではないので、言語聴覚士が適切な評価をし、必要性の判断が必要なのですよ~

さて、患者さんの元気の源の栄養ドリンク、コップに移してトロミをつけ、安全に飲み込むことができるように私がスプーンで一口ずつ介助しながら、飲んでもらいました。

だんだんと嚥下障害の症状が改善してきたあとは、一旦コップに移してトロミをつけたものを、元の瓶に戻して患者さんにお渡しするようにしました。トロミがついた状態ですが、栄養ドリンクを自分で飲むことは、患者さんにとって大きな楽しみの一つになりました。

その患者さんはリハビリテーションが継続できる別の病院へ転院となり、最終的に普通の食事を食べられるようになったそうです。もちろん鼻から入っていたチューブもなくなりました。

外来受診で病院に来られた際に、元気な姿をみせてくれたことがとても印象に残っています

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