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褒める力

| 投稿者: わたなべ

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おとなもほめよう」というキャッチコピー、聞いたこがありますか?2014年度にACジャパンでテレビやラジオ、新聞などで広告されたものです。もうあれから7年も経つのですね。今高校生の方は、小学生の頃ですね。

おとなですら褒められたいのですから、いわんや子どもにおいてをや、です。

発達相談で「お子さんを褒めてくださいね」と、よくお願いします。でも、ただ「褒めてください」としか言わないと、時には間違った褒め方、望ましくない褒め方をされてしまうことがあるので、注意が必要です。「褒めるところが無いので困っているのよ」と言った親にはドキリとしました。そうか、褒めることの目的や意義について、丁寧に説明をし理解していただく必要があるなと、そのときに強く感じました。

相談に見える方(お子さん)のなかには、ことばの遅れ、発音の問題、吃音、ADHDなどの主症状だけにとどまらず、それらの問題に派生して起こる二次的な障害が時には併発します。「自己肯定感の低下」には、特に注意が必要です。

そこで、褒め方が重要となってきます。

皆さんは、誰かを褒めるとき、たとえば友達や家族を褒めるとき、どんな褒め方をしていますか?

 

一般的には「Doing」や「Having」に対して褒めていることが多いと思います。

Doingは、行動に対してです。たとえば「勉強頑張って、えらいね」「大会で1位になって、すごいね」などです。

Havingは、身に着けた素質、能力や地位などに対してです。たとえば「頑張り屋さんで、えらいね」「キャプテンになって、すごいね」などです。

一方、「Being」は、存在そのものに対してです。アナと雪の女王ではないですが「ありのままで」ですね。何か特別な行動や特別な素質が無くても良い、「あなたの存在が無条件で素晴らしい」「ありのままで良いのよ」という褒め方です。何かしたから褒められるということではなく、「あなたが、あなたらしく生きていて素晴らしい」ということです。でも、Beingは、頭や気持ちでは理解していても、実際に口に出して褒めることは、案外難しいのかもしれません。だからこそ、意識して褒める必要があります。

DoingやHavingも、使い方を誤らなければ大きなご褒美になります。しかし、その褒め方は、逆の視点を持つと、褒めるべきことがないと褒められないという「罰」にもなりえます。先述の「ほめるところがない」という思考形式は、まさに典型的な例です。使い方に気をつけたいものです。

 

明石家さんまさんが、娘さんの名前を「いまる」と名付けた由来はよく知られていますよね。「きているだけでまるもうけ」。素晴らしい命名、考え方と思います。どんな親も自分の子どもに対して「生きているだけで…」と願うことでしょう。それを「ことば」にして上手に伝えられたら、子どもは安心して自分自身を信じ、たくましく生きていけるはずですね。

もちろん、「おとなもほめよう!」

褒める力は、想像している以上に絶大なものですね。臨床でお会いするお子さん、大学で接する学生さんたちから、今までいろいろと学ばされました。自分自身で力強く生きる力を養うためには、何よりも自己肯定感が重要です。とかく世の中DoingやHavingで評価されがちですが、Beingも大切にできる社会でありたいものです。お互いの存在価値を認め合う社会とでもいえますね。そのためには、お互いに適切に褒めることから始めましょう!

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