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音声言語機能喪失

| 投稿者: よしはら

 Kamata1

日常、私たちは何気なく会話を交わしています。そしてよく食べよく笑う、息も吸ったり吐いたりという機能の恩恵を受けています。ただ、喉頭がんや下咽頭がんの治療で、放射線や化学療法、腫瘍切除などの治療で軽快し、発声・発語が保たれているのが最も良いのですが、やむを得ず喉頭(声を出す声帯があり、呼吸の出入口でもあります)を摘出することがあります(耳鼻科医が行う喉頭全摘出術)。その場合は音声言語機能喪失ということで「身体障害者の認定3級」となります。患者さんの精神的負担はかなり大きく、社会復帰などへの不安も大です。そのような患者さんの社会復帰のための組織として日本喉摘者団体連合会「日喉連」というNPO法人があり、さらに支部も全国に54団体、145教室あります。東京は「銀鈴会」、「神奈川銀鈴会」、千葉県は「京葉喉友会」などです。音声の復権法として食道発声、電気喉頭(EL)、シャント手術などが挙げられます。音声獲得のみでなく、永久気管孔の管理、日常生活の注意点など同様の手術を受けられた方から貴重な情報共有もできます。私も20年近く会に関わり、新しく獲得した音声言語の発表大会などで審査員を務めました。第二の音声の獲得によりコミュニケーションが改善できれば、社会復帰も可能です。音楽家のつんくさんも同様の手術を受けられており、パソコンを用いたコミュニケーションをとられているのをテレビで時折見かけます。コロナ禍で発表大会などがストップしていますが、早く喉摘された患者さんの日常もとりもどせる日が待たれます。

 

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