言語聴覚士は、文系?理系?
| 固定リンク 投稿者: わたなべ
言語聴覚士は、文系ですか?理系ですか?
よく訊かれる質問です。
どちらだと思いますか?
言語聴覚士と言っても、実際に働く職場が、病院であったり、福祉施設であったり、発達支援センターや教育系(主に小学校や特別支援学校:ただし教員免許が別途必要)であったりと、実に様々です。また、病院であっても、耳鼻咽喉科頭頚部外科、脳神経外科、リハビリテーション科、口腔外科、小児科など、配属先は様々です。
一方、言語聴覚療法を実施するためには、配属先にかかわらず、言語聴覚士に共通として必要な基本的な知識があります。基礎・臨床医学、臨床歯科医学、音声・言語・聴覚医学、心理学、音声・言語学、社会福祉・教育といった、実に広範な領域について学ぶ必要があります。この科目群の名称を見れば、もはや文系、理系と断言できる人は、いないと思います。どちらも大切ですね。
とはいえ、正直なところ、人によっては文系、または理系のどちらかに苦手意識をもっている人も少なくないと思います。かくいう小生も(大きな声で言えませんが)数十年前の高校時代には、私立文系コースを選択し、恥ずかしながら数学と理科は極力避けていました(実は社会も!)。そんな小生でも、今ではこうして言語聴覚士を務めることができていますので、特に純粋な文系の皆さん、あまり心配しないでください。理系の皆さんも、国語や英語や社会が苦手という方がいると思いますが、文系同様に、心配しないでください。
「好きこそものの上手なれ」ということばがありますが、言語聴覚療法に興味があるのでしたら、たとえ苦手意識を持っている領域でも、自ずと必要に応じて慣れて理解できるようになります。どの領域も、文系や理系の極み!といった内容ではなく、論理的に思索する力があれば、仮に分からないことがあったとしても「(かっこ)括り」としてひとまず理解し、全体の関係性を理解すれば良いことも多いです。
大学入試でよく出題されるような「1つの決まった答え」を求めるための知識の集積ではなく、「論理的にものごとを考える力」、「人間をよく観察して洞察する力」、このようなアカデミックな力こそが、言語聴覚士には何よりも求められているのではと、個人的には考えます。
文系、理系ではなく、論理系、または人間系とも言えるでしょうか。