« 6月 バーチャルオープンキャンパスのお知らせ | トップページ | 言語聴覚士が知っておきたい著作権法 »

障害者差別解消法が改正されました!

| 投稿者: わたなべ

Watanabe_20210409161001今日は硬い話で恐縮ですが、ぜひ少しだけお付き合いください。

先日令和3年5月28日に、参議院本会議で全会一致により、改正障害者差別解消法が可決、成立しました。

改正前の法律は、平成25年6月に制定され、平成28年4月から施行されていました。

9年越しの法改正となります。


 障害者差別解消法
  ※正式名称は、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」です。
 この法律は、障害のある人もない人も、互いに、その人らしさを認め合いながら、
 共に生きる社会をつくることを目指しています。

  「不当な差別的取扱いの禁止」とは?

 この法律では、国・都道府県・市町村などの役所や、会社やお店などの事業者が、
 障害のある人に対して、正当な理由なく、障害を理由として差別することを禁止しています。

 

  「合理的配慮の提供」とは?

 この法律では、国・都道府県・市町村などの役所や、会社やお店などの事業者に対して、
 障害のある人から、社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としている
 との意思が伝えられたときに、負担が重すぎない範囲で対応すること(事業者に対しては、
 対応に努めること)を求めています。
障害者差別解消法ポスター - 内閣府 (cao.go.jp) 参照

「不当的な差別的取扱い」の禁止と「合理的配慮」の提供を、この法律は求めています。

これまで、合理的配慮の義務付けは国や自治体のみで、民間事業者には努力を求めるだけでした。

それが、今回の法改正によって、企業や店舗などの民間事業者にも義務付けられることとなりました。

そして、国や自治体は、障害者差別の相談に応じる人材を育成し確保する責任も明記されました。

準備に時間が必要のため、施行日は法律の公布から3年を超えない日とされました。

そのため、実際の運用は、まだもう少し先になるかもしれません。

 

言語聴覚士が対象とする言語聴覚障害でも、様々な合理的配慮が求められます。

内閣府がホームページに、合理的配慮の具体例を示しています。


合理的配慮の提供の例(聴覚・言語障害)

・筆談、手話、コミュニケーションボードなどの

 目で見て分かる方法を用いて意思疎通を行う

・字幕や手話などの見やすさを考慮して座席配置を決める

・窓口で順番を知らせるときには、アナウンスだけでなく

 身振りなどによっても伝える

・難聴者がいるときには、ゆっくりはっきりと話したり、

 複数の発言が交錯しないようにしたりする

・言語障害により聞き取りにくい場合に分かったふりをせず、

 内容を確認して本人の意向に沿うようにする


「吃音のある人の合理的配慮」をテーマに、この3月まで、前任校のゼミ生と一緒に調査・検討を卒業研究の一環として私は行っていました。そのため、今回の法改正には、強い関心を持っていました。

 

聴覚・言語障害は、外見でわかりにくいため、理解されにくいことが多く、特に配慮が必要と考えます。

また、そもそも困ったということを自ら意思表出すること自体が難しいこともあり、また、申し出がないから配慮は不要」と誤解されやすい問題点もありますね。

 

教育の分野でも、ユニバーサルデザイン教育が導入されていますし、大学教育でも障害のある学生に対する合理的配慮は今や必須となっています。

社会的弱者に優しい社会は、だれにとっても生きやすい社会。

いつ、だれでも、社会的弱者になり得ることを理解し、相互扶助、共生社会の実現を目指したいものですね。

 

« 6月 バーチャルオープンキャンパスのお知らせ | トップページ | 言語聴覚士が知っておきたい著作権法 »